初めてプリセプターになった看護師3年目の時の話です。
定期的にプリセプター会議というものがあり、
自分が担当している新人看護師、いわゆるプリセプティーの近況報告や教育の進行状況を報告したり、相談したりする場です。

手のかかる新人や問題のある新人が特に議題にあがりやすくなります。
くまみが初めて担当した新人ちゃんも正直、問題児でした。
そんな新人ちゃんを担当するくまみに、あるミッションが指示されました。
プリセプター会議で命じられたミッションとは!?

この日のプリセプター会もそれぞれプリセプターが新人の報告を行いました。
そして、議題はくまみの新人ちゃんの話題になります。
やる気が感じられない
先輩看護師が指導している時に大きなため息をつく
ちらちら時計を見て早く帰りたそう
態度が悪い・・・などなど
『教える気持ちが削がれてしまう!!』
上司や先輩看護師からこんな声が上がっていました。
新人看護師と言えばよく、笑顔!愛嬌が一番!
なんて言われることもあり、いつもニコニコしている新人看護師が、
患者さんだけでなく、先輩たちにも評判がよかったりします。
暗かったり、表情が乏しかったりする新人はそんな看護師の世界では目をつけられがちなんです。
やる気が感じられない
笑顔がない
患者さんの前でもそんな状態なのか?
上司たちは疑問に思いました。
そこで

新人ちゃんが患者さんに失礼な態度をとっていないか、きちんと対応できるているか
盗み聞きして調査するよう指令が出たのです。
盗み聞きって悪い事?実は看護師の教育方法『秘密の逆シャドーイング』!
盗み聞きというとなんだか、悪いことをしているように思えますが、
逆シャドーイングという看護師の教育方法があり、
盗み聞きというより、新人に『秘密で逆シャドーイングを行う』という教育方法なんですね。
まずシャドーイングとは、
看護学生や入職当初の新人看護師に行われる教育方法で、新人が先輩看護師に影武者のようにぴったりついて先輩の行動、動向、業務内容を見て覚えるという方法です。
逆シャドーイングは
ある程度業務に慣れてきた新人看護師に先輩が影武者のようにぴったりついて、新人看護師の行動や対応を観察します。
逆シャドーイングはやはり先輩に見られているという緊張感があり、
普段通りにできなかったり、
変に気合いが入ってしまったりして
普段の新人の様子を観察できなかったりします。
そこで、『秘密の逆シャドーイング』という教育方法があり、
こっそり新人看護師を追跡し、患者さんへの対応や動向、ナースコールや電話対応など、観察されるのです。
まさか先輩に見られてるとは思わずに
気を緩めてしまっている新人は
ついつい患者さんにタメ口を使ったり、ダラダラ話をしたり、逆に患者さんに素っ気ないことがバレてしまったり・・・。
ナースコールや電話を取る回数が少ない
他のスタッフが忙しそうなのに見て見ぬふりをしている
など、ついつい気を緩めた姿がバレてしまうことがあるんですね。
それだけでなく、イレギュラーが発生した時にどう対応するか?
疑問が発生したときに他の先輩に相談しているか?
そういった看護師としての必要な行動が独り立ちしてからもできているか確認できます。
報連相は本当に大事ですからね。
ミッション開始!いざ始めてみると上手くいかない!

先ほど述べた『秘密の逆シャドーイング』とは少し違いますが、くまみも盗み聞きされたことがありました。

くまみのプリセプターも実は『秘密の逆シャドーイング』をやったと懺悔していましたが(笑)

上司からミッションが出たからにはやるしかない!!
看護師は不規則なシフトで、なかなかプリセプティーと勤務が一緒にならなかったりします。
久しぶりに一緒の日勤があったのでこの日に決行することにしました。
朝のラウンドが始まりそれぞれ検温に向かいます。
くまみもこっそり新人の後をつけます。
しかしなかなか思い通りに行かないんですね。

仲のいい患者さんに話しかけられます。
そそくさとこの場を立ち去ることができず
少しお話してから、気を取り直してミッションを再開します。
新人ちゃんの声がする病室の前でマークし、会話を盗み聞きしようとします。

しかし、ここでも

病室の患者さんに担当看護師と間違えられてしまいました。
病室の近くでじーっとしていたら、そりゃ間違えられますよね。
というか・・・
みんなどうやって盗み聞きしているんだ!??
バレたらどうしよう
患者さんに変に思われたらどうしよう
そう思いソワソワしてしまい
なんだか挙動不審になってしまいます!!!

くまみは本当におっちょこちょいです。
自分でも、まわりの人も認めるほどのおっちょこちょいです。
人には不向きなこともあります。
ミッションを続けることが難しく教育リーダーに言いました。
当時の教育リーダーは本当にいい人で、くまみのことを可愛がってくれた先輩の一人でした。
くまみの挙動不審な行動が目に浮かぶようで笑いながら、無理にしなくていいよ(笑)とミッションの中止を認めてくれました。
少しだけ盗み聞きできましたが、新人ちゃんは特に患者さんには愛想は悪くありませんでした。
いくら、仕事にやる気がないように見えても看護師は人と深く関わる仕事。
病気で悩む患者さんにまで冷たくはできないですよね。
まとめ
盗み聞きをすることは、本当はよくないのかもしれませんが、時には教育に役に立つことがあります。
できることが増えてきたり、独り立ちするとついつい調子に乗ったり、手抜きをし始める新人もいます。
でも、そんなことをしていると患者さんの立場になって考えることを忘れ、慢心した態度が思いもよらぬアクシデントにつながることもあります。
看護師は生命に関わる仕事で責任が重いです。
そんな現場では新人を育てるために様々な教育方法を実践しているのです。
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